2016年6月24日金曜日

お母様方へ 子どもの数と計算の話(3)

数える!数える!数える!②

10まで正確に順番に言えるようになったら、実際に数えていきます。
前回①では、体の動きと合わせることに触れました。
歩数や階段の段数を数える時は足の動きと、指差しで数える時は指の動きと合っていることが不可欠です。

同じものを2回数えてしまったり、数え損ねても正しい個数はでませんので、すべて1回ずつ数えているかどうかを見てあげなければなりません。

子どもは、周囲の人々が数える姿から学んでいるので、数えている姿はなかなかのもので、一見きちんと数えているように見えます。
でもここでもう一押し!合理性を加えてあげたいと思います。
「小さい子どもに合理性なんて要るの?」と思われるかもしれませんが、なにかにつけて「めんどくさ〜い」って言わない子どもに育てるためには、合理性を身につけさせてあげることは必要です。算数の場合、より合理的に数えることが、より正確に数えることになり、計算をしてみようという方向に向かうことになります。

方法は、いろいろあると思います。まずは10個程度までで考えてみましょう。

たとえば、
横一列に並べてから数えるということができます。

これから数えるものを、移動させながら数え、数え終わったものと数えていないものを位置で区別することもできます。
移動ができないようなもの、たとえば、何かに書いてあるものを数える時は、数えたものに印をつけていくことができます。
印をつけて汚すことができなければ、数えながら、数えたものの上に何かを置いていく方法があります。数えながら置かずに、置いたものをあとで数えるという方法もあるでしょう。

他にもいろいろあると思います。アイデアをコメントしていただければ嬉しいです。

これらの合理的な数え方は、のちに、数える以外の生活面でも、学習面でも応用されていきます。
ごちゃごちゃしているものをまず並べてみると見えてくるものがあります。
作業前のものと作業後のものを別のケースにいれて効率を計ることがあります。
並び替えの問題や記号穴埋め問題は、使ったアイテムに印をつけることで正解を導きやすくなります。
人数を数えるときに、人でなく、チケット、椅子、皿、などで数えることを思いつきます。

テクノロジーの進んだ現代の生活では、このように昔は自然にやっていたことを機械がやってくれているので、子どもが実際に経験していないことがあるので、大人は意識的に注意して環境を作ってやる必要があるのです。
「そんなことも自分でわからないの〜〜?」と言うのは時代遅れかもしれないですね。

忙しくでそこまで見てやれない〜という方は、Yキッズルームでお引き受けいたしますので、
こちらをご覧のうえ、お問い合わせください。

次回 数える!数える!数える!③は、10以上の数を数えます。
ここで位取りの基礎が作られます。ではまた来週。

2016年6月17日金曜日

お母様方へ 子どもの数と計算の話(2)

数える! 数える! 数える!①


子どもが、数を数えられるようになったら、数える力を鍛えましょう。

ここで注意したいことは、2つあります。 

一つは、数を飛ばさないで言えるようになっているということです。

昭和の時代だったら、お風呂の中で100まで数えたものですが、(今もですか?) 子どもが「100まで数えられるよ。」と言っても、もしかしたらどこか数字が抜けているかもしれません。
丁寧に聞いてあげましょう。指などを使って抜かさないように助けてあげることも必要でしょう。

もう一つは、数字を唱えるだけでなく、しっかり具体的に数えられるということです。つまり数えるときに体の他の部分の動きと合っているかということです。

指、身の回りのもの、階段の段数、などを数えましょう。
すごろくのように、駒を進めながら数えるのはかなり高度ですのであせらず練習しましょう。

身の回りのもの、例えばおはじきなどを数えるときは、まだ数えていないものと、数えたものをはっきり区別するように導いてあげましょう。
それから、絵の中に書いてあるものも数えましょう。
このとき、重複して数えないように、また、数え忘れがないようにするにはどうしたらいいか、子どもに考えさせてみてはいかがでしょうか。 このあたりのことは、次回②で詳しく書きたいと思います。

さて、この数えるという行為は、算数だけでなく、社会性の発達とも関係していきます。 

飛ばして数えたり、数える体の動きより数を唱える方が速かったりすると、「ずる〜い」と言われる羽目になることがあります。

 どうして「ずる〜い」と言われるのかがわからないと、本人は言われる覚えのないことですから、どうしても感情的になります。

 気がつけば、「ずるい」だけでなく「キレやすい」などという評価を受けてしまうこともありますし、逆の場合は損をしたり、ばかにされたりということもあります。場合によっては「発達障害」を疑われます。

 数えられないことが、発達と関係している場合もありますが、周囲の心がけで発達を促してあげられるのであれば、ほっておかない方が良いと私は考えます。

ではまた来週。次回は数える!数える!数える!②です。

2016年6月11日土曜日

お母様方へ 子どもの数と計算の話(1)

はじめに


東京大学の教育学研究科にいると、「計算ドリルばっかりやってても・・・」という話になりがちです。でも、ゆとりの終わった昨今、多くの小学校では計算ドリルが復活しています。計算ドリルをさせていないと不安な先生方、お母様方も多いと思います。

「〜〜ます計算」とか「◯ 文式」とか、絶対的な力を誇っていますし、そろばんの価値も見直されていますし、日本の小学生の計算力は地球規模で見れば相当の上位です。

しかも、計算というのは速さと正確さがほぼ比例するのです。「遅くて丁寧で正確」というより、「速くて正確」という方が一般的なのです。

速くて正確な計算をする人は、いちいち考えて計算しているのでなく、反射的に答えを出しているからです。逆に、計算の過程が長くなるほど、間違いに出会う機会が増えてしまうので、それを避けているとも言えます。

ですから、計算ドリルをたくさんやって、反射的に答えを出せるようになれば、正確性も上がってくるわけですね。

では、どうして、「計算ドリルばっかりやってても・・・」という話になるのでしょうか。なんとなくこのセリフに惹かれてしまう方も多いと思います。これは、文章題も解きなさいという意味ではなく、脳内に多くの回路を作りなさいという意味だと考えます。子どもに、例えば「1 +1」と見たり聞いたりした瞬間に「2」と反応させるだけでなく、頭の中で複雑なネットワークを構築するように学ばせるのがよいということです。

そんなこと言われても・・・。何をどうすればよいのか・・・。と思われると思います。

このブログで少しずつ紹介していきたいと思いますので、ぜひご愛読いただきたく、また関心のある方にご紹介いただきたく、お願い申し上げます。

また、Yキッズルームでは、反射的かつ複雑な回路を脳内に作り出すような活動を行っていますので、ご家庭でこれらをなさるのが大変な親御さまは、ぜひご相談ください。
年長児さんに関しましても、今年の12月から、入学準備プログラムを水曜日に開講いたしますので、ご関心のある方はお問い合わせいただければと存じます。